事業承継には
どんな方法があるの?

親族内継承
従業員承継(MBO)
株式公開(IPO)
廃業・解散
M&A

親族内継承

メリット

●事業承継に前向きで、能力が備わっている親族がいれば、社内でも受け入れられやすく、スムーズに承継が進みやすい

デメリット

●後継者を育てるのに時間がかかる

●能力、意欲のある親族がいない場合は不可能

中小企業では最もオーソドックスに行われる手法です。
息子や娘がいて、事業承継に前向きで、能力が備わっていれば中小企業においては第一に考えられる選択肢でしょう。

但し、相続(贈与または株式譲渡)の時に解決しないといけない問題も多くあります。後継者以外に親族がいる場合などは、スムーズに承継するためにも、経営者が事前に相続税対策を立てておく必要があります。

従業員承継(MBO)

メリット

●前向きで能力が備わっている従業員がいれば、社内でも受け入れられやすく、スムーズに経営は引き継げる

デメリット

●従業員が会社を買いとるための多額の資金を準備する必要がある

優秀で経営を引き継ぐ意思のある従業員がいれば経営自体を任せて引き継ぐことはできますが、オーナーの出口戦略としてMBOを成立させるためにはその従業員が会社を買いとるだけの資金を準備する必要があります。

また、中小企業や非上場企業の場合だとオーナーが個人保証を付けている負債も引き継ぐ必要がでてくるのなど、ハードルは高いといえるでしょう。

株式公開(IPO)

メリット

●株式の現金化がいつでも可能

●会社の価格も高くなりやすい

デメリット

●限られた企業にしかできない

●公開準備に多額の資金と時間が必要

株式を公開しておけば、いつでも株式が売却可能となりますので、相続時の問題なども軽減されますしメリットは大きいのですが、ご存知の通り事業の将来性や規模などの条件のハードルが高く、限られた企業にしか与えられない選択肢といえるでしょう。

廃業・解散

メリット

●赤字が継続する場合は早く廃業することでオーナーの財産の減少を食い止めることができる

デメリット

●他の選択肢にくらべ現金の流出が多い

●会社ののれんが評価されず、消失する

●従業員の雇用が失われる

経営者の高齢化や後継者不足等により、年々増えているのが廃業・解散です。会社を清算するときは想像以上の出費が発生します。

従業員への退職金の支払い、資産の売却に伴う売却益への課税、買掛金の支払、借入金の返済、残ったお金をオーナーに配当するときの所得税など。またその企業が持っている知的財産や技術力、顧客や取引先との今まで築いた関係、熟練の従業員など帳簿に乗らない財産(のれん)を失うことになります。従業員の雇用も失われることにもなります。

これらを考えるとデメリットも大きく、可能ならば何らか別の方法を検討したいものです。

M&A

メリット

●廃業・解散と比べ、オーナーに多くの現金が残る

●帳簿に乗らない財産(のれん)も評価される(廃業・解散以外の上記3つの選択肢にも同様のメリットとして該当します)

デメリット

●自ら適切な買い手を見つけ、契約締結までのプロセスをスムーズに進めてM&Aを成功させるのは容易ではない

近年、大企業だけではなく、中小企業でも取られる手法の一つがM&Aです。

M&Aが成立すれば会社は存続されるので、会社の財産(帳簿に乗らない財産(のれん)も含む)は残りますし、従業員の雇用も継続できます。引き継ぐ会社がうまく運営を行えばさらに発展することになるので、社会的なメリットも大きいです。

また、経営者に残るお金も廃業、解散するよりも多く残る可能性が高いので、M&Aがうまく行けば、売り手よし、買い手よし、世間よしのいわゆる「三方よし」と言えるでしょう。

M&A成功の秘訣

メリットの多いM&Aをうまく成功させるには、適切な買い手を見つけて事業の価値をうまく伝えて交渉し、締結までもっていかなければいけません。

その交渉プロセスにおいても、金額の交渉だけでなく従業員の雇用の維持の交渉や、秘密保持契約の締結、情報の公開の範囲の検討、社内へのコミュニケーションなど、経験や専門的な知識が必要となります。

その会社に見合った最適な買い手候補を見つけて、交渉をサポートしてくれる適切なM&A専門業者を見つけることが重要と言えるでしょう。